レアハンターと吸血鬼 円山すばる
山奥に忘れられた廃城があった。その古い城には吸血鬼が棲みついていた。吸血鬼は長い間孤独だったが、ある日城へ『旅人』がふわりと訪ねて来た。
「僕はレアハンター。最後のひとつを集めるコレクター。お邪魔しても?」
初めは動揺したが、吸血鬼は旅人のペースに飲まれていき二人はいつの間にか共に暮らすようになった。そして長い時が過ぎた。
「でね、その怪物は今日も夜中にその楽譜を探し続けるんだ。こう、パサパサパサパサッ……って、怪物がひらすら楽譜をめくる音が部屋にこだまし……聞いてる?」
「もっと面白い話はないのか。宇宙人なんだろう、おまえ。」
宇宙人と呼ばれた旅人は微笑んだ。旅人は吸血鬼を月明かりの降るバルコニーに連れて行き、吸血鬼の白い手を取った。
「じゃあ、太陽の光が届かない所に一緒に来ない?」
「……私が地球最後の吸血鬼だから、か?」
吸血鬼に旅人は言った。
「……ああ。君にはずっと傍に居てもらうよ。絶対に手放さない。」
そのまま、吸血鬼は旅人とふわり夜空に浮かんだ。……まあ、なんとかなるか。吸血鬼は久方ぶりの幸福に身を任せる。そして二人は、銀河へのハネムーンへ旅立った。
了
空色杯運営様(@kro_ba_)主催
第20回空色杯 500文字未満の部 参加作品
『レアハンターと吸血鬼』 円山すばる
一言紹介:地球最後の吸血鬼と宇宙人コレクターの異色のラブストーリーです。
(491文字)
