【ショートストーリー】銀の聖剣

銀の聖剣   円山すばる

 遠い昔、人類の祖先が武器をようやく発明したころ。夜に焚火の傍で身を寄せ合っていると、天から見たこともない程明るい光が降り注ぎ『何か』が降り立った。
『すまない。マシンの不調で不時着を……。』
その『何か』の姿について後の人類の子孫にはこう伝わっている。この世のものとは思えないほど輝いていたと。
 人類の祖先たちは腰を抜かしてしまった。しかし三日もたつ頃には彼の存在に慣れてしまった。それが何かに苦心している様子にも気づいた。ある日、気の毒に思ったのか、祖先の一人がためらいながらも善意で自分の食料を差し出した。彼は塞ぎこんでいたが、その行動に笑みを浮かべた。
 それから、もう一つ光がやって来てその存在は去ることになった。別れ際、彼はこっそりと『友情の印だ』と言い、光り輝く何かを祖先に渡した。それには噛んでも千切れない程硬い輪とヒモがついており、輪の先にはとても細かい装飾が施されておりその先端は鋭かった。それがとても素敵だったので、彼はそれを宝物にした。

 それから、だいたい二百六十万年後。

 科学の時代になっても人類には信仰があった。それは『銀の聖剣』と呼ばれる、地球で最も信仰を集めた神聖な遺物を中心に成り経っており、人類はそれを崇めることでなんとか一丸となっていた。 
 人類は突如現れたこの世のものとは思えないような存在を『彼』と呼称した。宇宙から来た彼は各国の首脳たちのありとあらゆる策を適当に圧倒した後、彼らに言った
「で、皆さんも宇宙で私たちの仲間入りをするべきだということになりまして。」
 彼は淡々と事務的に説明をするが、誰も話を聞きやしない。そんな中、人類たちは突然彼に厳かに何かを差し出した。
「これは聖遺物、銀の聖剣です。」ぽかんとする彼に人間たちはその遺物を見せる「昔、あなた方から授かりました。」
彼は言った「……これ、お土産物屋さんで売っているやつですか?」
 土産物だって? 人々は彼に詰め寄ったが、彼は軽く手を振りあしらう。
「観光地ではよく売ってますよ。私もやんちゃな頃に買いました。これが何か?」
それから地球は天地がひっくり返る程の大騒ぎになった。その後散々な目に逢った彼は、上司に人類のすべてを報告した。その後、宇宙から何かが地球にやってくることは二度と無かった。それから信仰を失った人類がどうなったかは、もう誰も知らない。

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