円山すばるの詩・短歌集
文芸賞に投稿した短歌を許可を得て掲載しております
令和二年 某市市民文芸 第五十七号 奨励賞受賞
富士山も暑さに顔を見せぬ夏 雲を見ながらアイスほうばる
涼風が過ぎゆく夏に別れ告げ 鳥が落ち葉と共に旅立つ
冬の香がコートにすっかり染み込むと君を送りし春が顔出す
歩むため悲しいことは忘れようそして生きようせめて正しく
スマホには天気予報とニュース記事変わらないものフォーシーズンズ
令和三年 某市市民文芸 第五十八号 市民文芸賞受賞
駅地下で出口を一緒に探したりやたらとお茶を飲んだりしたい
お囃子の音が楽しい人混みでもいちど私を探してほしい
くもりです。向こうの天気は良いですか? カセットもって会いにいきます
届くなら手紙も書こうと思うけど人は人を声から忘れる
食い込んだ買い物袋が重くても幸せなことを見つけられるよ
令和四年 某市市民文芸 第五十九号 入選
取り出した制服見ながら繰り返すいつかは捨てなきゃならないんだよ
娘より大事にミシンかけられた父のTシャツ無言で畳む
当然のように履いたねパンプスをピンポン玉を追ってた君が
空、花火、ラムネをシャツにこぼしてもごめんで良かったそれで許せた
夏模様心の模様は蜃気楼海の向こうにあの日が見える