2025年 詠んだ短歌 4月28日 更新

2025年にぽつんと詠んだ短歌をまとめるページです

最終更新日 2025年4月28日

 

あの頃は富や名誉が欲しかった大人になっても「友」は買えない

幸福と幸福感は違うのだカップ麺と深夜の哲学

あの夜の後部座席に戻ってみたい夜の首都高、ガスタンクの灯…

電飾や輝くネオンに憧れた。いま泥のようにベッドで眠る

心中の鏡に走る亀裂らに夜がそっと包帯を巻く

ペンを取るこぼれた涙を宝石にするため心へ金継ぎをして

上手いことなんてひとつも言えなくて天気と気圧に責任転嫁

どんぐりや星座はもう探せない目でモニターの中の写真を眺める

生きていたいだから考え続けるの効かない薬を飲み続けるの

二人でも一人でいる日海は凪ぐごめんね、私たち、もうだめかもしれないね

理由などないあなたが大切だと何度でもいう 花を手向ける

矯正を勧める歯科医の苦笑い雨が降ってたいつも濡れてた

窓明かり団らんという弾丸愛とは私にとっての毒素

ユニットバス思い出にならない君たちも水も心も低きに流れる

時間だけすり抜けていくような春彼岸しんでしまった人へ手向ける野花

人生を味わうと海の味がするカンブリア紀で先祖が笑う

拭き掃除深夜に剥ぐはキーボード過去も汚れのように消せたら

風呂上り夜に爪切りを使ってる死に目に会える親はもうない

あの夏を駆けた自転車暴走族も血糖値の高さを気にして嘆く

公園で砂山を一人蹴り壊す子どものようなあなたの才能

いい絵だねいい文章だアオハルだ夕日に誓って嘘じゃなかった

創作者の浜辺に打ち寄せらるるものあなたも誰かの希望だったの

苦しいさ冷えた葬式弁当が主食だった頃より今が

 

つづく