円山すばるの詩・短歌集③
円山すばるが2024年に
SNS(X)で投稿した主な短歌をまとめました。
かなりたくさんあります。ぎっしりあります。
どうぞごゆっくりご覧ください。
(※ これらは本にはまとめておりません)
2024年 円山すばる SNS投稿短歌
激怒する貴方の前にいた者は怪物でしたか怪異でしたか
真夜中の小分け冷凍乾いた眼沁みる豚こまの(140円)
寂しい日鯵の切り身が安かった10分迷って涙目で買う
火曜市豚こまグラム100円セールわたしの命のような軽さ
その夜は孤独と恐怖に襲われて何も書けなくなってしまった
置き去りの助手席に座って待っていた車の方が錆びてしまった
増版はしない売れない本だから。嘘だ。5000兆冊売れろと作った。
もうすぐしぬと思うから人間関係断捨離をする
「そんなこと考えるなよ」と言う人の中での軽さ私の重さ
誰からも愛されなかったと思います千の風になんかしないでください
切り花を飾らないのは輝きに負けて私が砂になるから
つくるほど背負う荷物が重くなる磨くことだけに捧げたいのに
なんとなく続けてほしくて参加するイベントはズレてく布団のようで
つくったら引き出しにしまっておしまい、にできない熱意が人質になる
適当で雑な本なんて作ってないそれでも人は見た目が9割
イオンにあるゴディバのたっけえチョコたちはたぶん私より大事にされてる
半分こダブルソーダは何者だパピコすら分けあえた試しがねえよ
イラストが2chで罵倒されなくても良い未来ヒトカクへの恩を忘れずにいる
高そうな貴殿の家の玄関の防犯カメラにギャルピしてやる!! 夏だぞ!!!!!!
チャーシューなど作っている場合ではないことは百も承知で豚バラを焼く
暑い日の運送屋さんのありがたさ私の背中蹴ってもいいよ
消えたいとすらも言えない身の憂さを歌い散らしてくれよ歌姫
声高に「都合のいいものが売れる」って叫ぶ人たちの車輪の下で
今ここで「お前より優れてるから」と言えばいい回りくどいことなどせずに
「あの人の漫画嫌いだよ」と言う人に返したい夕焼け空のような「私も。」
玄関にあなたがまだ居る気がしてるわたしあなたを声から忘れる
いつか聞く「愛の反対は無関心」体現している腹部の脂肪
ランドリーはいいやつ私の洗濯物洗ってくれるのはもうお前だけだよ
存在が大きすぎた人だからまだ信じられない小さな骨壷
消しゴムを貸してくれる人がいて「生きてていいんだな」って思った
透明な人間のくせして作歌する壁画のような存在証明
「あの人は短歌とか詩をやってたね」いつか誰かのそよ風になる
ヒールないカンフーシューズでリズムとる私は自分で見つけてゆける
1000000度の炎に命を少しずつ焚べる石より星になりたい
宝石になりたかった色が欲しかった地球にそそぐ彗星になる
海と空の間に飛んだ本当は地上の君にあこがれていた
君といたあさきゆめみし青い春わかってほしい意地悪だった
17歳。ネットカフェから追い出され終電待ちで見つめた月夜
19歳。終活と祖母が言い出してお祈り郵便持つ手が震え
25歳。先のことなんてわからない。電車でぎゅっと膝を縮める
30歳。部屋の隅に座っても一人友達なんていないよ
朝焼けに染まるベランダ光降る夜が巻いた包帯を剥ぐ
海光り風が君に吹き付けるそれでも帰ろう一人の家に
以上